さば観
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泳ごう:(2)室内プール
※コチラを先にお読みください
 伊集院家総合スポーツセンターにある室内プールは一般には開放されてないとかで、
エントランスはけっこうにぎわってたのに、ここだけ空間を切り取られたような静けさだ。
 プールの水もゆっくりとゆれている。
 ふたりっきりで、水着で・・・・ああああああ。
「イッチ、ニー、サン、シ・・・・」
 心臓が走り出してきたから、気を紛らわすために準備運動を始める。
「・・・・・お待たせ」
 待ってました!
「いヤ、なんにモ」
 高揚した気分を悟られないように、裏腹なセリフとともにゆっくりと振り返る。
 残念ながら、声はウラ返ってしまったけど。
「・・・・・・」
「あの、何か、変・・・・かしら」
 はっ!
「いやその全然!」
 思いっきり凝視していた目を反らす。
「男の格好以外で人前に出るのって今でもあまり慣れなくて、どこか可笑しいんじゃないかって不安になるの」
「似合ってるよ」
 顔を反らしたまま言ってどうする、俺。
「あ、ありがとう・・・」
 幸い、その矛盾には気づかなかったようだ。
「じゅ、準備運動しましょうか」
 ストレッチを再開しながら、伊集院を改めて見る。
 水着・・・は、期待したものとは大きく違っていた。
 競泳用の、しかもヒザぐらいまである露出度の低いものだった。
 いやまあ、そのぶんピッチリとしているから、予想以上に伊集院のスタイルがいいのは分かったけど。でもやっぱ、水着って、こう、なんと言うか・・・・
 ストレッチを終えた伊集院は、ニコッと笑って言う。
「それじゃ、とりあえず100ね」
「へ?」
 とりあえず? 100?


 ザバン、ザブン、と水音だけがプールに響く。
「はあっ」
 水から顔を上げると、伊集院はすでにゴールしていた。
 これで100m4本は俺の全敗だ。
 と言うか、俺の考えてた「泳ぐ」とはハゲシク違う気がする・・・・・・・
「泳ぎは悪くないんだけど、フォームに無駄があるのよね」
 彼女は俺の泳ぎについて寸評する。
 いいよもう、俺のフォームなんて・・・
「もっと、こう・・・・」
 伊集院は俺の腕を取る。
「水を後ろに押すように」
 うわっ
 か、身体が密着して・・・・
「肩を使って・・・ねえ、もう少し力を抜いてくれる?」
 って言うか、胸が!胸が!!
「・・・そうね、そんな感じかしら」
 胸・・・じゃなくて、伊集院は離れてしまう。
「それじゃ、一度泳いでみて」
 えっ。
 ロクに聞いてなかったんですけど。
 ええと、たしか肩を大きく使って・・・
 すう・・・と泳ぎ出す。
「そう、もっと水を押して!」
 ひとかきで、ずいぶんさっきより進んだ・・・ような気がする。
「すごい、少し直しただけで、ぐんと良くなったわ!」
「そ、そうかな」
 彼女はうれしそうに笑う。
「それじゃフォームが良くなった所で、500行ってみましょうか」
「は?」

 ・・・・結局、アスリート並の練習メニューをこなして休日は終了した。

    《 モドル 》

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